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「学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史〈上〉1492~1901年、〈下〉1901~2006年」ハワード ジン著、レベッカ ステフォフ編著、鳥見真生訳、 あすなろ書房、2009年8月発行、各¥1,575(税込み)



著者ハワード・ジンは1922年(-2010年1月)、米国ニューヨーク州生まれの政治学者、歴史家、評論家(ボストン大学政治学科名誉教授)。公民権運動や反戦運動で活躍した。レベッカ・ステフォフは歴史・科学読物作家(ペンシルバニア大学修士)。翻訳者の鳥見真生は東北大学法学部卒。
本書は、著者の “「民衆のアメリカ史」(上巻)(下巻)(世界歴史叢書)、猿谷要監訳、明石書店、2005年1月発行、各¥8,400(税込み)”を若い世代向けに編集したものである。「純粋な事実というものは(書かれた歴史には)存在しない、ということにはすでに気づいていた。学校の教師や作家が世界にさし出すあらゆる事実の陰には、判断がある。判断とは、この事実は重要だが、こちらの事実は重要ではないから省略してもかまわない、というものだ」(下巻第14章より)。
本書においても他のアメリカ人著述家同様、日中・日米戦争やアジアの歴史に関する無知などが一部みうけられるが、通常のアメリカ通史とは異なり、民衆の立場でアメリカ合衆国の歴史を描いた、生きた人間の歴史書であると言える。著者は、「自分の過ちを正すには、わたしたち一人ひとりが、その過ちをありのままに見つめなければならない。・・・わたしの考える愛国心とは、政府のすることをなんでも無批判に受け入れることではない。民主主義の特質は、政府の言いなりになることではないのだ。国民が政府のやり方に異議を唱えられないなら、その国は全体主義の国、つまり独裁国家である・・・政府は批判の及ばない神聖な存在ではない、と『独立宣言』ははっきりとうたっているのだ。なぜなら政府とは、<生命、自由、幸福の追求>という、万人に等しく与えられた権利を保障するため、人々によってつくられた人為的なものだからである。・・・政府が責任を果たさない場合には、<その政府を改変もしくは廃止して新しい政府を設立することは・・・人々の権利である>」(はじめにより)と述べている。
現代の世界において、近隣諸国に無法なロシア、共産党一党独裁の匪賊集団-中国、ウソで固めた韓国・朝鮮のような非常識な国家群をかかえた日本のような国にとって、国家防衛のための同盟国としては、相対的によりましなアメリカ合衆国しか無いことは明らかである。にもかかわらず、多くの日本人にとって、アメリカ合衆国という国のほんとうの歴史は案外知られているようで知られていない。外面的な華やかさの陰に潜む真のアメリカ合衆国は、本書に描かれているような多くの「差別と貧困と戦争の国」(訳者あとがき)、「ここは食うか食われるかの国 強きが弱きをくじくところ」(若き黒人詩人ラングストン・ヒューズの詩の一節、下巻第三章)なのだ。世界一裕福な国の富の多くは、ごく一部の貪欲な最富裕層に独占されている。そのことは実際、アメリカ合衆国に住み、働いてみればよく分かる。一言で言えば、世界の多くの国の根源的な問題は、“共生”の思想の欠如に由来しているのだと思う。縄文時代以来、数千年を超えて“共生”の思想に支えられた日本だけが、いわば世界で特殊な環境に置かれていたのだといえる。これからの世界を生きていくうえで、わたしたち日本人はそのことをよくよく考えてみる必要がある。
一般的なアメリカ通史としては、(新版)世界各国史の中の“「アメリカ史 (世界各国史)」紀平英作 (編集) 、山川出版社、1999年10月(新版)発行、¥3,675(税込み)”などがある。
戦後史を含めたアメリカの近現代史としては、「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」(全三巻)、オリバー・ストーン、ピーター・カズニック共著、大田直子、鍛原多惠子、梶山あゆみ、高橋璃子、吉田三知世共訳、早川書房、2013年4~6月発行、一・二巻共¥2,100、三巻目は¥2,310(税込み)が参考になる。

「アメリカはアジアに介入するな!」ラルフ・タウンゼント著、田中秀雄・先田賢紀智共訳、芙蓉書房出版、2005年7月発行、¥2,000(税別)

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