「真実の中国史[1840-1949]」宮脇淳子著、岡田英弘監修、李白社、2011年10月発行、¥1,680(税込み)


著者は1952年、和歌山県生まれ。京都大学文学部卒業、大学講師(学術博士)。監修者は1931年、東京生まれ。東京大学文学部卒業、東京外国語大学名誉教授(著者の夫)。
本書は著者と編集者との質疑応答をもとにまとめられたものを監修者が監修して出来たものである。したがって読みやすいが、根拠の提示などはあまり丁寧になされていない。
「「中国」というのは時代によって意味する大きさ(土地の広さ)が全然違います。その時々の皇帝の血筋、一族もまったく違う。つまり、支配階級の出身が違うのです。実は言葉も違います。北から入って来たり、西から来たりと、その時々に王朝が変わって、まず同じ中国などないのです。治めている土地の大きさも時代によって全然違います。・・人種間の争乱の歴史なのです。」(序章)、「中国の歴史というのは基本的に二つの流れがあります。北族の時代と南族の時代とでも言えばいいのか、中国王朝の四分の三は北から入った人たちの王朝です。有名な王朝は北魏、隋、唐、遼、金、元、清ですが、北方の民は実は全部女が強いのです。」(第一章)、「中華人民共和国が成立する以前には、中国といってもすべて別々の、違った地域の話だということです。・・満洲はもともとは中国ではありません。・・・(現代)中国の言い分は、“歴史”ではなく“政治”なのです。あるいは政治的プロパガンダと言ったほうがいいかもしれません。・・・中国人は、たとえ日本人が因果関係を説明したところで、いまの日本にとって都合がいいからそう言うだけではないかと考える民族です。・・・相手を信じていないからです。・・・彼らにとってみれば過去はなく、いましかありません。・・・歴史自体をまったく信じていないのです。・・・中国では偉い学者の言うこともまったく信じられていません。中国人はもともとお上の言うことは信用しない人たちです。」、「中国は前のことは関係ないということを普通にやっています。清朝のことだから知らない、中華民国のことだから知らないと、国際関係はまったく無視します。」、「日本は(外国との不平等条約を)・・法律にのっとって改正してきました。・・・中国はこうした手続きをいっさいしません・・ひたすら喚くか、焼き討ちするか、暴動を起こして殺すか、というふうに大騒ぎして、嫌いだ、やめると喚くだけです。」(第二章)、「中国は日本人の考える国家とはあまりに違います。・・・王朝が変わっても、中国人はまったく変わりません。全域がぴったりと平均化して何かをしたなどということは、中国の歴史上、一度もないのです。」(第四章)
本書の目次は以下の通りです。
序 章 「真実の中国史」を知る前に
第一章 中国の半植民地化は「アヘン戦争」からではない[1840-1860]
第二章 中国に本当の西洋化など存在しない[1861-1900]
第三章 国とは呼べない中華民国からはじめて国家意識が生まれる[1901-1930]
第四章 歴史上、一度もまとまったことのない中国[1931-1949]
「日本の歴史学界、とくに近現代史の専門家たちの左翼偏向を、私は昔からよく知っていますから、自分でわざわざそういう本を買って読んだりはしません。今回、質問を受けて、一般に流布している歴史書のでたらめさ加減に、あらためて衝撃を受けました。」(おわりに)

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