著者は1960年生まれ。外交官を経て、現在、文筆家。在ロシア連邦日本国大使館に勤務後、外務本省国際情報局分析官としてインテリジェンス業務に従事した経歴を持つ。
筆者に本書の内容を評する知識も能力もないが、とにかく面白い。本書は読者に国際政治の最前線の一部を垣間見させてくれるだけでなく、人間社会の現実を鋭く描いており、過去の史実を理解する上で有効だと考え、資料室に掲載する。
著者は本書のあとがきで、ソ連崩壊のシナリオを描いたというロシアの高官、ブルブリス氏の言として、「過去の歴史をよく勉強しろ。現在、起きていること、また、近未来に起きることは、必ず過去によく似た歴史のひな形がある。それを押えておけば、情勢分析を誤ることはない」という言葉と、「人間研究を怠るな。その人間の心理をよく観察せよ。特に、嫉妬、私怨についての調査を怠るな」という言葉を紹介している。
なお著者には、“「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」新潮文庫、2007年10月発行、¥740(税込み)”、
“「自壊する帝国」新潮文庫、2008年10月発行、¥820(税込み)”、
“「国家論-日本社会をどう強化するか」NHK BOOKS、2007年12月発行、¥1,160+税”、
“「日本国家の神髄-禁書『国体の本義』を読み解く」扶桑社、2009年12月発行、¥1,785(税込み)“、
“「インテリジェンス人間論」新潮文庫、2010年10月発行、¥740(税込み)”など、多数の著書がある。