「世界が語る大東亜戦争と東京裁判―アジア・西欧諸国の指導者・識者たちの名言集」吉本貞昭著、ハート出版、2012年7月発行、¥1,680(税込み)

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著者は1959年生まれ。中国研究の専門家。同時に、大東亜戦争などの研究者でもある。
本書は大東亜戦争と東京裁判についての著者の解説と、アジア・西欧諸国の指導者や識者の発言集とから成る。
史実とは関係なく自己の主張だけを展開する中国共産党や韓国・朝鮮などの主張はともかく、日本国内でもなぜウソの歴史や反日思想が蔓延してきたかについては、戦後のアメリカ占領軍が数多くの日本人を公職から追放し、共産主義者を始めとする左翼思想家たちを華々しく復活させただけでなく、アメリカによる意図的な日本人洗脳計画があったからだと著者は指摘している。「アメリカは終戦後の昭和二十年十一月三日に、日本が再び連合国の脅威にならないよう、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥に対して、日本人洗脳計画を命じた。その計画とは、日本人に「侵略戦争」をやったという贖罪意識を植え付ける「戦争犯罪情報計画」(「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」)と呼ばれるもので、報道と教育を通じてアメリカの都合に良い歴史観を日本人に植え付けることを目的としたものであった」(“はじめに”より)。多くの日本の学者・マスコミ・役人・政治家を始め、反日左翼知識人が蔓延したのはその結果である。皮肉なことに、本来反米である日本の左翼知識人たちは、当のアメリカ自身が量産したということである。
大東亜戦争と東京裁判(という名のリンチ)について一つだけ紹介しておくとすれば、「パリ不戦条約」(昭和三年八月二十七日にパリで調印)が放棄している戦争とは「侵略戦争」であって「自衛戦争」ではなく、国家の発意で行う戦争が「侵略戦争」か「自衛戦争」かの判断は各国の裁量(「自己解釈」)に一任されているということである。当時の国際条約が戦争それ自体を犯罪であると規定しているわけではなく、ましてや国家が行う戦争責任が個人にあるなどという規定はどこにもない。もし大東亜戦争を神が裁いたならば、戦争犯罪国家はアメリカ・イギリス・ソ連・中国などであり、客観的な歴史の経過はそのように推移してきていることが理解できる。大宇宙の法則は因果応報であり、百年単位で見れば、原因が生み出してくる結果はいずれ原因を作った当人(当国)が受ける以外にないことが理解できよう。ダマされていることに気が付かないのは、多くのお人よしの日本人だけである。
内容についてはお読みいただくとして、発言集の中から一つだけ紹介しておく。
「私が、日本との戦争の全てが、戦争に入りたいという狂人(ルーズベルト)の欲望であったと述べたところ、マッカーサーも同意して、また、一九四一年七月の金融制裁は、挑発的であったばかりでなく、その制裁が解除されなければ、自殺行為になったとしても戦争をせざるを得ない状態に日本を追い込んだ。制裁は、殺戮と破壊以外の全ての戦争行為を実行するものであり、いかなる国と雖も、品格を重んじる国であれば、我慢できることではなかったと述べた」(ハーバート・フーバー、アメリカ合衆国第三十一代大統領)
第二次世界大戦終了後、朝鮮戦争を起こされて目が覚めたアメリカは、政府を始めとする社会の指導層から共産主義勢力を排斥し、蒋介石への援助も停止して共産主義国・ソ連と対峙し、後には人種差別を禁止する法律(公民権法)まで成立させるのであるが、日本政府だけは今だにアメリカによる戦後の「戦争犯罪情報計画」を墨守しているのは一体、どういう了見なのか。「日本は朝鮮を植民地にした」、「満州事変により中国を侵略した」、「日支事変のとき、南京で三十万人の市民を虐殺した」、「戦時中、多くの朝鮮人を強制連行した」などなど、明らかなウソ話を検定制度による歴史教科書から排除せず、歴史の真実を隠すことに汲々として、何も知らない青少年に史実を教えることを拒否している日本の文部科学省とは一体、どこの国の政府なのか。「百回言ってもウソはウソ」。いずれ、歴史の真実は表に出てくることを、愚かな政治家や役人たちは知るべきである。

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