SDHF Newsletter No.370J ウクライナ戦争考

ウクライナ戦争考

茂木弘道(「史実を世界に発信する会」 会長)

ロシアのウクライナ侵攻は、ロシア大国主義に基づく大ロシア実現がその根本的な目的であることは2月26日国営ノーボスチ通信の記事からしても明らかなことである。

ロシアの大国主義的なナショナリズムは、小国ウクライナの主権、文化、言語、意志を無視して大ロシア主義を一方的に押し付けようとする、民族主義的なグローバリズムと化している。極めて危険極まりない悪質ナショナリズムでる。

日本の民族主義者の一部には、グローバリズムに反対し、民族主義を支持したいという心情の人達がいて、今回のロシアのウクライナへの全面侵攻を日本の真珠湾攻撃と同類のものと考えて同情するのは、困ったことである。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、3月15日に行われた米連邦議会のオンライン演説で、「真珠湾を思い出してほしい。1941年12月7日、あのおぞましい朝のことを。」と訴えている。

しかし、これはとんでもない間違った認識である。

何よりも確認すべきことは、ロシアのウクライナ侵略は、自国の存立が危機的な状況下で行われたものであは全くないということである。小国ウクライナへの無法極まりない侵略であり、しかも核の脅し付きという悪質さである。

真珠湾攻撃は先制攻撃であるが、日本は正真正銘の国家存亡の危機に直面していたのである。1939年7月7日にアメリカは一方的に日米通商条約を破棄を宣言した。これはアメリカ史上類例のないことで、「準宣戦布告」と言えるものである。半年後からは、アメリカは日本に対して自由に「輸出制限」ができることになり、これを開始し、ついに1941年8月には石油の全面禁輸を行うに至った。石油の90%を輸入に頼っていた日本は、これにより近代国家として立ち行かない事態に陥ったのである。

「経済封鎖は戦争行為である」とアメリカのケロッグ国務長官は議会で述べているが、アメリカはイギリス、オランダなどと結託して日本に経済封鎖を仕掛けわけである。

すなわち先に戦争行為を仕掛けたのはアメリカなのである。しかも和解のための日米交渉に対するアメリカの最後回答が、ハル・ノートである。日本は、自衛手段を取る以外に道がなくなったのである。すなわち、自衛権の行使として、真珠湾攻撃を行ったのである。自衛戦争には、宣戦布告義務はない。

日本は正当な自衛権行使として真珠湾攻撃を行ったのであり、ロシアの侵略駅なウクライナ攻撃とは似て非なるものである、ということを全世界の人々に認識してもらわなければならない。

・日本語原文: http://hassin.org/01/wp-content/uploads/Ukraine.pdf
・英訳文: http://www.sdh-fact.com/CL/Ukrainee.pdf

令和4年12月9日 「史実を世界に発信する会」 会長 茂木弘道

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