キーワード ‘台湾’の記事リスト

「台湾、朝鮮、満州 日本の植民地の真実」黄文雄著、扶桑社、2003年10月発行、¥2,476+税

Amazon 本購入はこちらから

著者は外国(台湾)出身であるがゆえに早くから客観的な事実を丁寧に掘り起こし、冷静に日本と中国近現代史の真実を世に問う著作を数多く発表してきているが、本書は日本の「植民地」と言われる戦前の台湾、朝鮮、満州についての集大成としての著作である。「台湾は日本人がつくった」(徳間書店、2001年4月)、

Amazon 本購入はこちらから

「満州国の遺産」(光文社、2001年7月)、

Amazon 本購入はこちらから

「韓国は日本人がつくった」(徳間書店、2002年4月。改訂版、WAC BUNKO、2010年8月)

Amazon 本購入はこちらから

に続いて出版された著作で、著者は本書で西欧諸国による搾取・略奪型植民地とは異なる日本型「植民地」、つまり、日本本土に次ぐ第二、第三の「文明開化、殖産興業」による近代国民国家建設による東アジアの近代化の史実を、膨大な歴史資料に基づき実証的に詳述している。その背景には西洋列強からの日本の独立保全の問題があり、当時、“日本は、常に背水の陣で日本の安全保障の大前提である「アジア保全」(列強からの防衛)の努力を行っていた”のであり、“日本とともに近代化を行って西洋と対抗できる・・・アジア諸国が他になかった”のである。それがついには大東亜戦争を経てアジア諸国の独立につながり、アフリカ植民地の独立をも誘発し、人類史において“白人世界帝国解体への起爆剤となった”世界史的な意義を指摘している。「歴史は巨視的にみるべきだ。台湾と海南島は面積や地理的条件が実に似通っているが、この二つの島を比較すれば、日本の台湾統治の真実が最もよく理解できる。また、衛生環境が悪かった都市といわれたソウルが、なぜ近代的都市になったのか、かって塞外(辺境の意)、封禁(出入禁止の意)の荒野として放置された満洲が、いかにして近代産業国家に一変したのかを考えれば、日本のこれら地域における功績に、もはや説明は要らないはずだ」(“はじめに”より)。「日本人は台湾で匪賊を討伐、平定し、朝鮮では両班の苛斂誅求を停止させた。満洲では軍閥、馬賊を追放し、それによってこれら地域では安定社会が現出し、殖産興業が行われたのである。・・・かって非西欧文明圏の中で、資本蓄積と技術開発をできる国は日本だけであった。・・・日本の「文明開化」の波動を東亜世界に拡散できた背景には、日本の資本と技術の創出とその海外移転の成功があった」(第1章)。日本は台湾、朝鮮、満洲などでいかに良いことばかりをしてきたかを知っておくことは、日本の近現代史を知る上で日本人としての最低限の務めである。
同時に著者は、本来が人類のユートピア(地上の天国、地上の楽園)思想であり、解放思想であった植民地主義と社会主義(ほぼ同時代に崩壊した)を人類史の観点から鳥瞰・比較し、総じて言えば植民地主義はその遺産として各地に近代化をもたらしたが、社会主義がもたらしたものは人々の貧窮と荒廃のみであったと分析している。「かっての中国人は、植民地の悪の象徴だった租界に住むことを夢見ていた。なぜなら租界は中国の中で、唯一生命と財産を保障してくれる天国であり、駆け込み寺だったからだ。それはイギリスの植民地だった香港にもいえることである。・・・日本の植民地だったと非難される満州国にも、年間百万人以上の中国人がなだれ込んでいたという事実があるのだ」(“はじめに”より)。
さまざまな欲望に際限が無く、全体として善よりも悪の要素が勝る現実の人類に地上の楽園(ユートピア)を実現することは本質的に不可能だと思われるが、人類史において繰り返しユートピア思想が現れるのは、いつの時代も人間社会というものが悪と悲惨を抱え込んでいるためだと思われる。しかしそれは教育の普及と共助・共生により漸進的に改善していく以外に方法はなく、人間の本質を無視した安易なユートピア思想には眉にツバをすべきであると筆者は考えている。

「台湾は日本の植民地ではなかった」黄文雄著、ワックBUNKO、2005年12月発売、¥933+税

Amazon 本購入はこちらから

著者は1938年台湾生まれの高名な評論家。

もしも日本人がいなければ、
今日の台湾は絶対にありえなかった!
日本は台湾から何ひとつ略奪などしていない!──近代台湾のインフラをつくり、衛生環境を飛躍的に改善した医療を施し、飢餓と瘴癘に満ちた島を産業国家に変貌させ、台湾人の教育に命を賭けた結果、いまなお敬愛され、神として祀られる「日帝」時代の日本人。日本帝国がなかったら、台湾は今でも中国最貧の地である海南島以下であり、今日の台湾はなかったと断言する著者。歪められた歴史認識を糺し、誇りと気概に満ちた日本人となれ!

目次
序章 歪められた歴史認識
第1章 日本の台湾経営は「侵略」ではなかった
1 台湾は中国の領土ではなかった
2 解放軍として迎えられた日本軍
第2章 台湾は日本の植民地ではなかった
1 時代の必然だった日本への台湾割譲
2 植民地支配ではなかったこれだけの理由
3 「日台一如」に至る歴代総督の統治政策
第3章 近代台湾のインフラをつくった日本人
1 土地所有権を確立し、紛争を解消した社会改革
2 台湾近代化の基盤となった鐵道建設
3 人流・物流の革命をもたらした道路敷設
4 毒水を飲み水に変えた上下水道整備
5 不毛の地を穀倉地帯に変えた嘉南大圳
6 台湾の工業化を促進した日月潭水力発電
7 海外への門戸、基隆港の築港
8 華麗なる近代都市をつくりあげた人々
第4章 台湾の衛生環境を飛躍的に改善した医療と医師たち
1 台湾は風土病の地だった
2 日本の台湾統治により疫病が激減
3 瘴癘退治に燃えた日本人医師
4 アヘン撲滅策の成功
5 台湾を医者の世界的産地にした医学教育
6 医学界を襲った「二・二八の悲劇」
第5章 飢餓の島を産業国家に変えた日本人
1 原住民の開化に努めた日本人
2 山岳探検と森林開発の先駆者となる
3 台湾の米作に貢献した人々
4 砂糖を最大の輸出品にした砂糖キビ栽培
第6章 台湾人の教育に命を賭けた日本人
1 こうして教育革命が始まった
2 いまなお慕われている日本人教師
3 日本語教育が近代化の基礎を築いた
4 台湾に文化を育んだ功労者たち
5 歌い継がれる「サヨンの鐘」
第7章 いまも台湾に残る日本精神
1 日本人村が残した開拓精神
2 自然と郷里を愛する精神
3 勇気と愛国精神を教えた警察官
4 冒険精神を与えた日本人
5 慈愛を教えた日本人
6 台湾の地に骨を埋める覚悟