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「日韓がタブーにする半島の歴史」 室谷克実著、新潮新書、2010年4月発行 、¥720+税

著者は、1949年東京都生れ。時事通信社ソウル特派員などを経たジャーナリスト。韓国・朝鮮や古代シナの歴史書などを基に、古代日本は朝鮮半島から稲作などの各種の先進文化を学んできたという俗説の嘘を暴いている。朝鮮半島最古の正史「三国史記」(高麗時代の12世紀半ばに成立)には新羅の基礎を造った王や重臣の多くは倭人と書かれており、古代シナの「隋書」には新羅も百済も倭国には優れた品々が多く文化大国として敬仰していたと明記されている。「新羅の主食は粟だった。新羅の滅亡から、およそ九百年後に“日帝”が凄まじい財力を投入して農業基盤整備事業を推進するまで、半島の庶民は銀シャリ(白米100%の飯)など口にできなかったのだ」(第二章より)。稲作の日本列島への伝播は中国・雲南省から東シナ海を経由して九州へのルートであることはすでに科学的に証明されている。いわゆる邪馬台(ヤマト)国の位置に興味を持った人なら、「三国志」の記述から倭国は日本列島だけでなく朝鮮半島南部の一部を占めていたことも常識でしょう。「韓は帯方郡(ソウルを中心とする地域。当時のシナの勢力圏)の南にあり、東西は海を以って限りとなし、南は倭と接し、四方は各四千里ばかりだ」(三国志・韓伝)(ここにある倭のさらに南に対馬国がある)。
著者は本書で、韓国・朝鮮の捏造史観の源流とでも言うべき歴史についても追求している。著者の言う「超夢想的朝鮮民族絶対主義史観」は真実の韓国・朝鮮の歴史に対する劣等感を克服するための韓国・朝鮮人の夢物語なのだろうが、歴史の真実を直視できない民族に明るい未来はないと言えよう。「愚人は悪口を語って、その斧によって自分自身を斬り割くのである」(サンユッタ・ニカーヤの中村元訳)。
人文系の学者に科学的思考態度が欠如していることは一般的なことかも知れないが、そこに唯物論という近視眼的な悪魔の思想が加わると、目的のためには手段を選ばないという考えになる。「かれは、身で悪行をなして、ことばで悪行をなして、心で悪行をなして、身体が破壊したあとで、死後に、地獄、悪しき処、苦しみの処、堕ちた処に生まれる」(同上)。中国や韓国、日本の愚かな国家的ウソつき指導層に、筆者は憤りを通り越して、むしろ憐みを感じている。