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「蒙古襲来」山口修著、光風社出版、1988年6月発行、¥1,200+税(古書あり)

著者は1924年、神奈川県生れの大学教授。一般に蒙古襲来と言われているが、侵攻軍の実態は蒙古人・漢人・高麗人・唐人(蒙古に滅ぼされた宋人)の、シナ大陸と朝鮮半島全域の混成軍である。本書は国内外に残された資料を駆使して蒙古襲来の実態に迫っている。高麗、つまり朝鮮半島は地政学的に日本侵攻の基地にされやすい位置にあり、明治初期、ロシアを始め欧米列強の脅威に対していた日本が、シナ(明・清国)の属国であり、破産状態であった朝鮮半島が独立した強国になってくれなければ、後背地を持たない日本の独立が脅かされると考えたのは当然のことである。それにしても、蒙古軍の侵攻を受けた当時の日本の為政者が毅然としていたのが印象に残る。