著者は1934年、埼玉県生れ。朝日新聞社勤務を経たジャーナリスト。本書で第3回山本七平賞を受賞。戦後のいわゆる「進歩的文化人」の空想的かつ独善的で、事実を無視した発言の数々を徹底的に検証している。そもそも生産の現実も、人間の本性も知らない「文化人」の非現実性や、薄っぺらなイデオロギーに支配され、偏ったイデオロギーの奴隷化した「進歩的文化人」の罪業を詳細に紹介している。こうした「進歩的文化人」の系譜は、その後も中国共産党独裁政権と「日中記者協定」を結び(1972年の国交正常化後は政府間協定へ移行)、自社の経済的利益のためだけに自ら報道・言論の自由を放棄するという、ジャーナリズムとしての自殺行為に等しい協定を通して、「中国共産党独裁政権の舌」と化している大新聞社やTV局(後には日本政府も)などに受け継がれている。「悪魔」は姿を変えてなお健在で、現代の日本からまだ完全には祓われていないのである。