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西太后ニセ詔書まで持ち出す中国の尖閣領有根拠 「史実を世界に発信する会」茂木弘道

2011年3月19日 土曜日

 中国政府の尖閣領有は李登輝元総統の言葉を借りれば、「美人を見たら自分の妻だと主張する」のに似たものである。何しろ、1953年1月8日の『人民日報』で尖閣は琉球列島を構成する七組の島々の一つと書き、1960年北京市地図出版社発行の『世界地図集』で尖閣を日本領としていたのが、1968年に国連極東経済委員会(ECAFE)が尖閣海域に石油・ガスなどの地下資源が存在する可能性ありとの報告したとたんに、自国領だと言いだしたのである。あきれ果てた恥ずべき国である。
 
このならずもの並の領有権主張は全く根拠がなく、これに対して日本の領有は100%国際法によって裏づけられていることは『中国はなぜ尖閣を取りに来るのか』(藤岡信勝・加瀬英明編/自由社)の中で詳細に説明しておいた。この全文を目下英訳中で、近々「史実を世界に発信する会」の英文サイトに掲載するとともに、ニューヨーク・タイムズの元日本支社長ニコラス・クリストフのように「中国の主張に分がある」などと虚言をいう連中に送りつけるつもりである。

 古文書などを持ち出して理由づけようとしているがどれもこれも、領有権とは全く無関係であるが、「西太后詔書」なる偽造文書まで持ち出すありさまである。これは光緒19年(1893年)清朝の大官盛宣懐が釣魚島、黄尾嶼、赤尾嶼の三島へ薬草の海芙蓉を採取に赴き、その錠剤を西太后に進呈したところ、その薬効から、西太后がこの三島をその者に与えると書かれた詔書と称するものである。
 
この詔書なるものは、偽造されたニセモノであることが明らかとなっている。
まず、1893年といえば魚釣島、黄尾嶼(久場島)には古賀辰四郎が上陸して開拓に着手してから10年近くたっており、ここに見知らぬ中国人が上陸してくればすぐにわかるはずである。そのようなことはどこにも記録されていないし、伝えられてもいない。また、赤尾嶼は草一本生えない岩山なのに薬草取りをしたとは、ウソ話作りも杜撰である。三島に海扶桑なる薬草が生えていたことはない。
 

そもそもこの詔書は10月と書かれているだけで日付がない。詔書には必ず日付があるし、又玉璽も本物とは異なっている。決定的なのは、盛宣懐を「太常寺正卿」としているのであるが、光緒19年当時その役職には就いていないことが明らかとなっていることだ。ウソにぼろが出てしまったということだ。領地を与えるという重用事なのに当時の清の公文書のどこにもでていない、という事を見ても全くの作り事であることがよくわかる。
 
こんな子供っぽいウソを中国政府は領有権の根拠として正式に主張している。しかし、これを馬鹿にしているだけでは済まない。アメリカ議会調査局報告書ではこれを「無意味」と一掃するのではなく、一つの根拠として列記している。田中上奏文というニセ文書が実に大きな害を日本に与えた事例を思い起こすべきである。ニセ詔書であることを内外に徹底的にPRしていくべきである。(2011.3.18)