一、 上海万博開催日の五月一日を前に四月二五日に放送されたNHKスペシャル「上海・百年の物語」魔都を巡る激動の歴史―戦争・革命 名門一族流転の人生―は、なかなか面白いなと観ていたが、やっぱりと云うか、それですんなりと終わってはくれなかった。どうしても日本侵略を入れないと気が済まないようで、「しかし日本軍の一斉攻撃によって上海は」と云うナレーションとともに爆撃画面が現れ、更に「多くに市民が犠牲になった」と進むのである。さも日本軍が一方的に上海に侵攻したかのような云い方であるが、これは完全な『歴史歪曲』である。
二、 その証明は簡単である。当時のニューヨーク・タイムスを見ればよい。
上海における軍事衝突を回避する試みによりここで開催された様々の会議に参加した多くの外国政府の代表や外国の正式なオブザーバ ーたちは皆、以下の点に同意するだろう。日本は敵の挑発の下で最大限の忍耐を示した。日本軍は居留民の生命財産を多少危険にさらしても、増援部隊を上陸後数日の間、兵営の中から一歩も外に出さなかったのである。‐‐‐
上海の戦闘状態に関する限り、証拠が示している事実は一つしかない。日本軍は上海では戦闘の繰り返しを望んでおらず、我慢と忍耐力を示し、事態の悪化を防ぐために出来る限りのことをした。だが日本軍は中国軍によって文字通り衝突へと無理やり追い込まれてしまったのである。
(一九三七年八月三一日付 ハレット・アーべント記者)
ニューヨーク・タイムスが絶対的に正しいなどということではなく、当時明らかに反日・親中国の立場に立っていたニューヨーク・タイムスすらこのように書かざるを得なかったのが、上海での戦争の状況であったという事である。日本の一斉攻撃ではなく、中国軍の一斉攻撃に日本は居留民保護のために反撃して戦争が拡大した、というべきなのである。
三、 市民に被害が出たのは確かであるが、その最たるものは中国空軍の誤爆による中国市民の大量殺害である。八月一三日、非武装地帯に侵入した中国正規軍三万が日本人居留民を守る海軍陸戦隊四千に対して本格攻撃をかけてきた。一四日にはマルチン爆撃機十数機が旗艦「出雲」を編隊爆撃しようとしたが反撃され、挙句の果てには共同租界・フランス租界の市街地に所かまわず爆弾を投下、そのため一般市民(大部分が中国人)が多数犠牲となった。「大世界」ビルでは千人以上が殺され、カセイホテルでは、二百数十人が死亡した。その中には後のライシャワー駐日大使の兄も含まれていた。市民殺害は、中国軍の仕業であることを正しく伝えるべきである。歴史を歪曲して日本軍に濡れ衣を着せるなどということは、謂わば犯罪行為であるが、公共放送であるはずのNHKのやることか!
(10.5)