今からでいいから政府は尖閣領有根拠を世界にPRせよ ― 「史実を世界に発信する会」 茂木弘道

2010年9月8日 水曜日

尖閣問題がついに国家的な危機をまねくに至ったのは、日本政府が明々白々たる領有権根拠を断固として主張してこなかったことにある。世界中の人が誰も認めざるを得ない具体的な根拠もある。テイケイ会長の高花豊氏が2年前から主張しているように、中国政府が公式に作成し1960年代末まで使っていた地図、中華民国政府が1965年に作成した地図がそれである。尖閣諸島は明確に日本領と記述されているのである。公式に日本領と認めていたのだ。1968年に国連アジア極東委員会による調査で尖閣諸島周辺に石油・天然ガスが埋蔵されていることが発表されるまでは、日本領と公式に認めていたのを1971年に突如覆し、中国固有の領土であると両国は云いだしたのである。ぬすっと猛々しいとしか言いようのない、恥ずべき主張である。

こんな下劣極まりない主張を恥ずかしげもなく云い続け、更には実力行使に向けた手を次々に打ってきているのが中国である。漁船が全くの民間人であるとは考えられない。既成事実を作り上げようという長期戦略の一環として、8月15日に閣僚の靖国参拝なし、と言う機会を狙って実行した「威力偵察」と見るのが正解だろう。

断固たる主張を中国に対して行う事が第一に必要であることは云うまでもない。同時に領土問題は国際的な認知という事が極めて大きな役割を果たすので、これを世界に対して発信していくことも重要なことである。「史実を世界に発信する会」では昨年高花論文を英訳し、英文サイトに掲載したが、今回の事件に鑑み、これを英文ニュースレターに取り上げて、世界の学者、マスコミなど四千人余にEメール発信した。いつもは反日的で批判的なコメントを送ってくるグレゴリー・クラーク氏も今回は大変有益な情報と礼を言ってきた。これにケチをつけたのでは信用失墜と考えたのだろう。中でも有難い反応を示してくれたのは、マイアミ大のドレイヤー教授である。9月15日付のワシントン・タイムスに掲載されたビル・ガーツ氏の記事を送ってくれた。そこには1969年に中国政府が制作した公式のカラーの地図が載っているのである。高花論文の地図は中国で市販されていたものであるのに対しこちらは機密扱いの地図である。尖閣諸島が日本領と色分けされている地図を示して、中国政府が言っていることは根拠がないではないかと解説している。

今からでも遅くはない。こうした世界中の人が認めざるを得ない分かりやすく確固とした領有根拠を政府は中国に対して示すと同時に、世界に向けて強力にPRしていくべきである。勿論ビデオはこの際公開すべきである。さすがの中国も国際的に恥ずべきことが行えなくなる状況を作り出すべきある。最終的には、自衛隊の部隊を駐屯させることが必須であるが、これをいきなりやるのは得策ではない。日本はいたずらに強硬姿勢を取ったと批判されかねないからである。これではせっかくの駐屯の威力が半減してしまう。まずは宣伝戦を先行させ、「強盗中国」イメージを作りあげた上で部隊駐屯をすべきである。ともかくここで引き下がったら永遠の負けなのだ。

(10.9)

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