‘日本史関連一般’ カテゴリーのアーカイブ

資料室: 日本史関連一般

「歴史が面白くなる 東大のディープな日本史」、「同2」相澤理著、中経出版、各2012年5月、12月発行、各¥1,000+税

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著者は1973年生れ。東京大学文学部卒業、東進ハイスクール講師。
本書は東京大学の日本史の入学試験問題に解説を加えて一般書にしたものであり、内容は古代から現代にまで亘っている。さすがに「大学の<顔>としての入試問題」だけあって、疑問な箇所を中心に日本史全体を理解し、深く考察する上で有用な書物である。
「東京大学の日本史の入試問題・・は、人名や年号の知識を問う空欄問題・正誤問題などの出題はいっさいなく、論述問題のみで構成されている」、「「東大日本史」の面白さを一言で言えば、自明に思える歴史の見方・考え方に揺さぶりをかけられる、ということにあります」(“はじめに”より)。
「東京大学ほど「優秀な学生を集める」ということに意識的な大学はありません。東京大学の入試問題は、日本史にかぎらず、緻密な思考力を問う良問が選りすぐられています」(“はじめに”より)。「東大入試の本質は<暗記>である(ほかの科目も含めて)・・・「考える前に覚えろよ」という当然のことを、東大の先生方もお考えなのだと入試問題から感じます」(2の“はじめに”より)。「<意味>はあとからわかる。だからこそ、「考える前に覚えろよ」なのです」(2の“おわりに”より)。
ちなみに、現在の東京大学の入学試験は多様化しており、第2次学力試験に日本史を含む社会科が課せられているのは文科系分野だけである(昭和40年ころまでは、文科系、理科系分野ともに五教科・七科目が課せられていたが、現在では文科系には理科が、理科系には社会科が第2次学力試験の入試科目から除かれている。入学試験が高校以下の学生に試験対策の時間を取らせる以上、優秀で多様な学生を集めるのであれば、入試科目はもっと少なくても良いのではないか)。

「渡部昇一の昭和史」(正)渡部昇一著、Wac bunko、2008年10月発行、¥933+税

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著者は1930年山形県生れ。上智大学名誉教授、評論家。さまざまな政治的思惑などから、わが国では戦後、学校での真実の歴史教育が行われていない中で、日本の近現代史を短時間で見直すには有用な書物である。

「貧民の帝都」塩見鮮一郎著、文春新書、2008年9月発行、¥770+税

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著者は1938年岡山県生れの作家。幕末維新で時代や制度が変わる中で、社会に取り残された人々の実情が良く伝えられている。歴史を理解するということはその時代に身を置いて考えるということであり、当時世界一の規模と文化を誇った江戸の町の直後の状況ですらこういう実情であったのだから、同時代のシナ大陸や清国の属国であった朝鮮半島の内情がどれほど悲惨であったか、容易に推察できるというものである。現代の中国人や韓国・朝鮮人が偏頗なイデオロギーなどによっていかに自国の歴史を捏造したり美化したりしようとも、当時、彼の国を訪れた西洋人の書き残した書籍などに目を通せば、真実の一端を窺うことは可能である。

「幕末下級武士のリストラ戦記」安藤優一郎著、文春新書、2009年1月発行、¥730+税

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著者は1965年千葉県生れの歴史家(文学博士)。幕末から明治への転換期に生きた下級幕臣の残した自伝を基に、この時代の雰囲気を良く伝えている。歴史を作っていくのは政治家や知識人だけでなく、ただひたすら生きていくことに精一杯の多くの庶民だということが伝わってくる書物である。

「幕末維新 消された歴史」安藤優一郎著、日本経済新聞出版社、2009年10月発行、¥1,800+税

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著者は1965年千葉県生まれ。歴史家(文学博士)。多くの一次資料を駆使しながら、幕末の歴史について広く世間に喧伝されている「事実」についての解明を試みている。日本の近代化の始まる前夜について、歴史の勝者による多くの「勝てば官軍」的な歪曲がなされていることに気づかされる良書である。

「レンズが撮らえたF.ベアトの幕末」高橋則英監修、小沢健志著、山川出版社、2012年12月発行、¥1,680(税込み)

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横浜、長崎、京都、大坂、神戸、鎌倉、箱根、江戸市中、富士登山、下関戦争、東海道、中山道、日光街道ほか、外国人戦場カメラマンの見た幕末の日本。

目次
F.ベアト写真アルバム(御高祖頭巾の女性;三度笠と合羽 ほか)
F.ベアトの見た幕末の日本
フェリーチェ・ベアトについて(島原藩下屋敷;生麦事件の現場 ほか)
フェリーチェ・ベアトの生涯
幕末日本の風景(日光東照宮唐門と拝殿;愛宕山から見た江戸のパノラマ ほか)
幕末日本の風俗(ポートレイトの習作;人足 ほか)

「蒙古襲来」山口修著、光風社出版、1988年6月発行、¥1,200+税(古書あり)

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著者は1924年、神奈川県生まれの大学教授。一般に蒙古襲来と言われているが、侵攻軍の実態は蒙古人・漢人・高麗人・唐人(蒙古に滅ぼされた宋人)の、シナ大陸と朝鮮半島全域の混成軍である。本書は国内外に残された資料を駆使して蒙古襲来の実態に迫っている。高麗、つまり朝鮮半島は地政学的に日本侵攻の基地にされやすい位置にあり、明治初期、ロシアを始め欧米列強の脅威に対していた日本が、シナ(明・清国)の属国であり、破産状態であった朝鮮半島が独立した強国になってくれなければ、後背地を持たない日本の独立が脅かされると考えたのは当然のことである。それにしても、蒙古軍の侵攻を受けた当時の日本の為政者が毅然としていたのが印象に残る。

「女帝の古代日本」吉村武彦著、岩波書店、2012年11月発行、¥760(+税)

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著者は1945年、朝鮮大邱生れ。東京大学文学部卒業、明治大学文学部教授。
日本の歴史上の女帝(女性天皇)、特に古代の女帝についての研究書。古代に女性天皇が出現したのは律令制国家が成立した時期に集中しているのであるが、次期天皇決定の基準が時代に応じて変化していることが分かる。女性天皇出現の背景には、縄文・日霊女(卑弥呼)時代以来の日本の母系制社会の伝統が色濃く残っていたように思われ、男性・女性という性に対するこだわりが後の時代とは異なるように感じられる。同時に、次期天皇が皇室と限られた利害関係者だけで決定されており、時代背景に合せて柔軟に決定できた背景が窺える。
現代の皇位継承についてはさまざまな議論がなされているが、天皇制そのものが半ば公的な制度であるとはいえ、基本的には皇位継承は私的な天皇家の跡継ぎ問題である。次期天皇は、天皇について最も詳しい現天皇が(必要だと思う方々の意見を参考に)自家の後継者として決定するのが最も理に適っているように筆者には思われる。皇位継承を現天皇の意思とは関係なく政府が作成する法律で規定したり、現天皇家と何の関係も無いいわゆる“識者”といわれる人たちが、聞かれもしないのに他家の後継者について偉そうに口を出すのは、これほど不遜なことは無いのではないかと筆者は考えている。
なお、古代天皇家の謎の一つである継体天皇については、「継体天皇とうすずみ桜」(小椋一葉著、河出書房新社、¥1,800)に紹介されている「真澄探當證」にある記述(継体天皇は第23代顕宗天皇の子供)が最も真実に近いのではないか。

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「古代日本正史」原田常治著、同志社、1976年9月発行、¥2,470(税込み、古書あり)

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著者は1903年、千葉県生れ(~1977年)。出版社編集長などを経て(株)同志社(後、婦人生活社)を創立(故人)。現代の日本人の多くは記紀(古事記と日本書紀)神話に無知か無関心、少数の関心派の一部は記紀成立時の政治的背景を無視し思考停止した記紀原理主義者のような印象を受けるが、天皇制成立の謎とともに日本の古代史に関心のある日本人は多い。戦後、歴史研究のタブーが無くなったことによりさまざまな研究者による説が発表されているが、依然として謎は多い。古代のシナの文献に登場する日本人(倭人)は以下の通りである。①西暦紀元前2~1世紀ころ、「楽浪海中に倭人あり。分かれて百余国」(前漢書、地理誌)、②紀元4年、「東夷の王、大海をわたりて国珍を奉じ」(前漢書、王莽伝)、③紀元57年、「東夷の倭奴国王、使いを遣わし奉献す」(後漢書、光武帝紀)、④紀元107年、「冬10月、倭国、使いを遣わし奉献す」(後漢書、安帝紀)、「倭国王帥升等、生口百六十人を献じ、請見を願う」(同上、倭伝)、⑤紀元220年ころ(?)、「倭国乱れ、相攻伐すること歴年、すなわち共に一女子を立てて王と為す、名を卑弥呼と曰う」(三国志魏書、烏丸鮮卑東夷伝倭人条=魏志倭人伝)、⑥紀元239年、「六月、倭の女王(卑弥呼のこと)、大夫難升米等を遣わし・・京都(洛陽のこと)に詣らしむ。その年十二月、詔書して倭の女王に報じて曰く、『・・今汝を以って親魏倭王と為し、金印紫綬を・・仮授せしむ』」(魏志倭人伝)、⑦紀元243年、「倭王、また使大夫・・八人を遣わし・・上献す」(魏志倭人伝)、⑧紀元247年~(285年ころ以前)、「倭の女王卑弥呼、狗奴国の男王・・と素より和せず(戦争が始まる)。・・・卑弥呼以って死す。大いなる塚(元字は土偏が無い)を作る。・・・更に男王を立てしも国中服さず・・また卑弥呼の宗女の台与(元字は旧字)、年十三なるを立てて王と為し、国中遂に定まる」(魏志倭人伝)、⑨紀元413~502年、晋書、宋書、南斉書、梁書に、いわゆる倭の五王(讃、珍、済、興、武)の遣使の記録が見える(ただし、倭人の使者が一字の王名を名乗ったかについては疑問がある)。これらの記述と記紀の内容とを対照すると、記紀に基づいて日本の古代史の真実を追究するのは非常に困難であることが分かる。なお、中国の吉林省集安市の好太王陵の近くにある高句麗の好太王碑(広開土王碑)には、391年から404年にかけて高句麗軍が朝鮮半島で倭軍と戦ったことが記録されている。
著者は本書で、8世紀初頭の記紀成立以前から存在している神社に残された伝承記録を分析することにより、日本の古代史の謎に迫っている。真実に迫るためにはできるだけ先入観のない客観的な立場での研究が必要であり、本書の内容がすべて真実かどうかはともかく、著者の視点は一つの卓見と言えよう。特に、いわゆる「魏志倭人伝」にある邪馬台(ヤマト)国の位置に関する著者の解釈(宮崎県西都市)は、筆者が目にした数多くの解釈の中で最も自然で納得のいくものと言える。
本書の続編として、神武天皇以後応神天皇までの“「上代日本正史」同志社、1977年3月発行、¥1,850(税込み、古書あり)”がある。

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なお、類似の結論に達している文献に、「先代旧事本紀」の内容と各地の神社伝承を分析した大野七三(1922年生まれ)の著作(「日本建国神代史」、

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「日本国始め 饒速日大神の東遷」各2003年、2010年発行、批評社など)がある。

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大野氏推定の邪馬台国(宮崎県西都市)へのルートは、不弥国以降が原田氏推定のルートと異なる。
邪馬台国(宮崎県西都市)へのルートについては、最近出版された”「日本古代史を科学する」中田力著、PHP新書、2012年2月発行、¥720+税”

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に説明されているルート(唐津->小城->佐賀->熊本->八代->人吉->宮崎県西都市)もあり、不弥国(佐賀)までのルートはこれが最も真実に迫っているのではないかと思う。
著者には、“「気温の周期と人間の歴史」(第一巻 温暖化すすむ日本列島、第二巻 世界の九月現地調査)、同志社”

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という著書もあり、太陽の回帰線が周期的に南北に移動することが北半球と南半球の気候(気温)の変動をもたらし、経済・政治など社会の変動を招いているということを実証的に説明している(実際は、太陽の黒点数の変化などに現れる太陽活動の活発さの変化も気候変動に大きな影響を与えているし、最近では人間の活動による影響もあると言われている)。著者の見解では、回帰線の最南部と最北部の移動周期は約300年であり、2025年頃には最北部に達する。第一巻には、日本敗戦時に中国共産党の林彪が、日本が養成し優秀な日本人将校も入った満州国軍を買取ったのが八路軍の主力となり、これが戦後中国共産党が蒋介石軍を破って中国の内戦に勝利した要因であるとか、日露戦争時の通信秘話なども掲載されている。ただ惜しむらくは、著者の主張の中心的内容となったであろう第三巻(三千年の気温と人間の歴史の周期)が著者逝去のため出版されていないことである。

「台湾は日本人がつくった」黄文雄著、徳間書店、2001年4月発売、¥1,500+税 

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著者は1938年台湾生まれの高名な評論家。

日本による台湾統治は「侵略」でも「植民地」でもなかった!

いまなお台湾人から敬愛され、神として祀られる「日帝」時代の日本人。疫病を台湾から追い出した医師、台湾人に「共通語」を与えた日本語教育など、台湾の近代化に命を賭けた日本人たちの姿を通して日本の「過去」といまに続く日台の絆を問い直す。

――経済的数字から見れば台湾では植民地搾取どころではなかった。台湾が日本の植民地というなら、日本国民は植民地のために搾取され、台湾を肥らせ、甘やかしていたというのが史実である。
児玉源太郎総督の時代に、後藤新平が行った土地調査のことを、「土地略奪」だと中国人学者は歪曲・捏造して伝えているが、そこには何の根拠もないのである。むしろ、その逆が史実であることは、本書を一読すれば明らかだ。
(「まえがき」より)

[内容紹介]
第一章 日本の台湾経営は「侵略」ではなかった
第二章 台湾は日本の植民地ではなかった
第三章 近代台湾のインフラをつくった日本人
第四章 台湾の衛生環境を飛躍的に改善した日本の医療
第五章 飢餓の島を豊かな産業国家に変えた日本人
第六章 台湾人の教育に命を賭けた日本人
第七章 台湾にいまも残る日本精神

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