2009年12月 のアーカイブ

平成21年度下期決算

平成21年度下期決算
昨年度下期の決算です。

【収入の部】
前期繰越金 145,278円
寄付金収入 5,374,160円(振込手数料控除後)
受取利息  86円

合  計  5,519,524円

【支出の部】
翻訳費用  3,314,850円
事務委託費 383,665円
リース料  114,185円
切手・送料 231,340円
事務用品  194,496円
特派員協会費 68,400円

合  計  4,306,936円

【次期繰越金】
1,212,588円

皆様のご支援により、順調に翻訳コンテンツを増やしております。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

「台湾、朝鮮、満州 日本の植民地の真実」黄文雄著、扶桑社、2003年10月発行、¥2,476+税

著者は外国(台湾)出身であるがゆえに早くから客観的な事実を丁寧に掘り起こし、冷静に日本と中国近現代史の真実を世に問う著作を数多く発表してきているが、本書は日本の「植民地」と言われる戦前の台湾、朝鮮、満州についての集大成としての著作である。「台湾は日本人がつくった」(徳間書店、2001年4月)、「満州国の遺産」(光文社、2001年7月)、「韓国は日本人がつくった」(徳間書店、2002年4月。改訂版、WAC BUNKO、2010年8月)に続いて出版された著作で、著者は本書で西欧諸国による搾取・略奪型植民地とは異なる日本型「植民地」、つまり、日本本土に次ぐ第二、第三の「文明開化、殖産興業」による近代国民国家建設による東アジアの近代化の史実を、膨大な歴史資料に基づき実証的に詳述している。その背景には西洋列強からの日本の独立保全の問題があり、当時、“日本は、常に背水の陣で日本の安全保障の大前提である「アジア保全」(列強からの防衛)の努力を行っていた”のであり、“日本とともに近代化を行って西洋と対抗できる・・・アジア諸国が他になかった”のである。それがついには大東亜戦争を経てアジア諸国の独立につながり、アフリカ植民地の独立をも誘発し、人類史において“白人世界帝国解体への起爆剤となった”世界史的な意義を指摘している。「歴史は巨視的にみるべきだ。台湾と海南島は面積や地理的条件が実に似通っているが、この二つの島を比較すれば、日本の台湾統治の真実が最もよく理解できる。また、衛生環境が悪かった都市といわれたソウルが、なぜ近代的都市になったのか、かって塞外(辺境の意)、封禁(出入禁止の意)の荒野として放置された満洲が、いかにして近代産業国家に一変したのかを考えれば、日本のこれら地域における功績に、もはや説明は要らないはずだ」(“はじめに”より)。「日本人は台湾で匪賊を討伐、平定し、朝鮮では両班の苛斂誅求を停止させた。満洲では軍閥、馬賊を追放し、それによってこれら地域では安定社会が現出し、殖産興業が行われたのである。・・・かって非西欧文明圏の中で、資本蓄積と技術開発をできる国は日本だけであった。・・・日本の「文明開化」の波動を東亜世界に拡散できた背景には、日本の資本と技術の創出とその海外移転の成功があった」(第1章)。日本は台湾、朝鮮、満洲などでいかに良いことばかりをしてきたかを知っておくことは、日本の近現代史を知る上で日本人としての最低限の務めである。
同時に著者は、本来が人類のユートピア(地上の天国、地上の楽園)思想であり、解放思想であった植民地主義と社会主義(ほぼ同時代に崩壊した)を人類史の観点から鳥瞰・比較し、総じて言えば植民地主義はその遺産として各地に近代化をもたらしたが、社会主義がもたらしたものは人々の貧窮と荒廃のみであったと分析している。「かっての中国人は、植民地の悪の象徴だった租界に住むことを夢見ていた。なぜなら租界は中国の中で、唯一生命と財産を保障してくれる天国であり、駆け込み寺だったからだ。それはイギリスの植民地だった香港にもいえることである。・・・日本の植民地だったと非難される満州国にも、年間百万人以上の中国人がなだれ込んでいたという事実があるのだ」(“はじめに”より)。
さまざまな欲望に際限が無く、全体として善よりも悪の要素が勝る現実の人類に地上の楽園(ユートピア)を実現することは本質的に不可能だと思われるが、人類史において繰り返しユートピア思想が現れるのは、いつの時代も人間社会というものが悪と悲惨を抱え込んでいるためだと思われる。しかしそれは教育の普及と共助・共生により漸進的に改善していく以外に方法はなく、人間の本質を無視した安易なユートピア思想には眉にツバをすべきであると筆者は考えている。

「台湾は日本の植民地ではなかった」黄文雄著、ワックBUNKO、2005年12月発売、¥933+税

著者は1938年台湾生まれの高名な評論家。

「台湾は日本人がつくった」黄文雄著、徳間書店、2001年4月発売、¥1,500+税 


著者は1938年台湾生まれの高名な評論家。

大東亜戦争は無謀な戦争だったのか?―「史実を世界に発信する会」茂木弘道

一、 米英蘭による日本の生存を脅かす不法極まりない政治・経済的な圧迫に抗して日本が決然と立ち上がって決戦の火ぶたを切ったのが、今から六八年前の昭和一六年一二月八日である。真珠湾奇襲によりアメリカ艦隊を撃滅するとともに、マレー沖においてイギリスの誇る戦艦プリンス・オブ・ウエールズ、レパルスを航空機のみで撃沈するという世界に例を見ない大戦果をあげたのである。続いて瞬く間にフィリピン、マレー、ビルマ、インドネシアの米英蘭軍を打ち破り、東南アジアから欧米植民地勢力を駆逐したのである。
二、 この戦争を日本の侵略戦争である、などというのは話にならない愚論である。なにしろ、日本を侵略国であると断定した東京裁判の最高責任者であるマッカーサー司令官は、その後アメリカの上院軍事外交合同委員会において、「日本は自衛のために戦争に突入した」と明確に証言しているのである。しかし、自衛戦争としても、米英という圧倒的な生産力・軍事力を持つ世界の大国に刃向かうようなことは、自己の力をわきまえない無謀な戦争だったのではないか、という人がきわめて多い。
三、 しかし、日本は必ずしも負けないばかりか、勝利の戦略を持っていたのである。開戦直前の一一月一六日に大本営政府連絡会議で正式決定された「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」がそれである。東南アジア資源地帯から米英蘭を駆逐して資源を確保した後は、太平洋は防御、攻勢主体はインド洋方面の英と中国というものである。極めて理にかなった、また実行可能な戦略である。この戦略通りにやれば、日本が敗北することはありえないと私は考えている。
四、 一年ほど前になるが、ある方からアメリカ人で似た考えを発表している人がいるよと紹介された本が今回翻訳出版した『「太平洋戦争」は無謀な戦争だったのか』(ワック出版)である。ウィリアムス大学のジェームス・ウッド教授の著書である。専門はフランス近世史であるが、このテーマで何十回と大学で講義し、学生と討論しているうちに、アメリカなどで当然のこととされている、日本は負けることが決定づけられた無謀な戦争をした、という考えはおかしいのではないかと考えるようになったという。
五、 教授によると日本は追い込まれた状況下で、考え抜かれたベストのタイミングで開戦をしたという。第一期作戦が予想をはるかに上回る成功をおさめたことがその証拠であるが、この勝利によって日本が本来考えていた作戦構想から逸脱して、太平洋で過剰な前方決戦を行って戦力を消耗してしまったことが敗戦を招いたという。こういう見方が、アメリカ人からも提起されることになったことは、あの戦争見直しのために好ましいことである。幸い本はかなり反響があるので、これをきっかけに大東亜戦争見直しの論議を深め、広めていければと考えている。
(9.12)